レモンライス〜10年ぶりの懐かしい味

ゴールデンウィークを利用して、知人グループとともに京都を楽しんだあと、一人延泊で大阪に立ち寄りました。大阪へは、この半年ほど出張に行く機会も多くなったのですが、なかなか友人知人に会ったり、どこかを訪ねるといったことができなかったこともあり、この機会を利用して、どこかに行ってみようと思っていたのでした。

残念ながら、帰りの新幹線の指定座席がお昼過ぎに大阪を出るものしか残っておらず、半日だけの滞在となったので、ちょっと人と待ち合わせして、というのが難しくなったのですが、ちょうどふとしたことで昔懐かしい味を思い出していたこともあって、そのお店を訪ねることにしました。

私が在籍していた大学の近くにあった、夏爐(かろ)という喫茶店に、レモンライスという看板メニューがあったのですが、この何気ないピラフというかチャーハンは、学生の間ではそれなりに有名でした。

卒業して大阪を離れてからは、お店はおろか大学近辺にいく機会はなく、なんとなく記憶の奥へと埋もれてしまっていたのでした。

あるとき、何かの弾みで、しいたけを使った料理の話になり、記憶の奥から「レモンライス」の味や香りがふっと戻ってきたのでした。そういや、夏爐はどうなったんだろう。。。

早速サーチエンジンで、「夏爐」や「レモンライス」をキーワードにして検索してみると、いくつかのページがヒットし、同じように卒業後に夏爐のことが気になって、いろいろと調べて記事にしている人もいらっしゃいました。

mixiにある大学コミュニティでも話題に出ていて、店自体を知らない卒業生や現役生もいたりで、現在もまだあるのか、といったことがなかなかわからなかったのですが、2〜3年ほど前に、テレビの取材が入ったらしいことなどが紹介されていたので、半日の大阪滞在は懐かしいキャンパスと「夏爐」をたずね、レモンライスを食すことにしました。

といっても、店の電話番号がわからず、事前に営業しているかの確認がとれないまま、上記のウェブのレポートにあった営業時間を頼りに、とにかく店を目指してみました。ちょっとはなれたところからでも、お店の前に自転車が数台停めてあるのが見えて、その光景も懐かしく、お店がその日も開いていることがわかりました。

夏爐は、大学の前のにぎやかな通りからは1つ奥に入ったところにあり、入り口はさらに垣根を入ったところにひっそりとあります。

すでに近所の方が数名いらっしゃっていて、コーヒーを飲みながら雑談をされているようでした。私は一人奥まったところに座らせてもらって、懐かしい雰囲気を思い出していました。このメニュー、10数年前とまったく変わらずです。もちろんオーダーは、レモンライス。ちょっと早い昼食となりました。

お皿に盛られた炒めご飯に、福神漬けとともにレモンが添えてあり、食べる前にレモンを絞る、メニュー名の由来となっています。食べると一番に感じるのは、しいたけの食感と香りです。脂っこさをさっぱりさせてくれるレモンは、このしいたけの香りとも重なり、このレモンライスの印象を作っています。そんなに特殊な味付けをしているのではないと思うのですが、しいたけとレモンの香りを知らず知らずのうちに、学生時代の懐かしい味となっていました。

あっという間に平らげて、一緒に出していただいたグレープフルーツジュースを飲み干して、少しほっとしたところで、お会計を済ませて店を出ようとしたら、お店を切り盛りしているおばあちゃんが奥から出てこられて、ご挨拶をしてくださいました。

もちろん面識はないのですが、かつてここの学生だったこと、卒業後東京にいるが、京都旅行のついでに立ち寄ったこと、ネットで調べたことなどをお話しました。

ちょうど、その日の夜に、同じように30年前に卒業した方が家族とともにいらっしゃるという予約が入ったところだったそうで、本当に長い間愛されてきたお店なんですね。

新幹線の時間まで、あと30分くらいうろうろできる時間が取れそうだったので、大学のキャンパスをひと周りしてきました。ひと周りといっても、いくつかに分かれているキャンパスのうち、クラブ活動をしていた教養キャンパスをざっと歩くくらいでした。

短い時間でしたが、学生時代の思い出を少しだけ体感することができました。